第1章5項
四度石遊山の落成

着工してからまる三年をかけ無事落成のはこびとなりました。

戸を開け一歩足を踏み入れるとなんとも言えない檜の香りが充満している。上って右は仏間12帖があり天井には明り採りが造られている。キッチンカウンターは御影石、作り付けの檜食器棚があり、囲炉裏のある50帖の大広間が視野に入る。主柱の大きな柱、天井の太い梁などどっしりとした重量感を漂わせ圧倒される。回廊から見る景色ははるか下に山南町の家並みが眺望できる。

檜の香りがたちこめる大広間に座り、その出来ばえを振り返りますと日本の伝統木造建造物「四度石遊山」を出来る限り多くの人に観ていただき、そして平成の番匠として後の世に伝え残してゆかねばならない使命感で静かな感動が胸中に沸きおこるのでした。そして、この建造物が後の「石場建足固め構法」の基礎になる大きな意味を含んでおりました。