第1章6項
「四度石遊山」の見学を終えて

「本当にすごかったね。圧倒されたよ。」
 「あんな建物は今まで見たことがなかったし、地震に耐える強い家と言う印象があったね。」
 二人は今まで見てきた展示場のモデル住宅とは全く違う世界を味わった感じだった。

「でもあんな造りにすると建築費が高くつくのと違う?」
妻の不安に彼は説明した。

「僕の調べたところでは真壁工法と言って、壁に板とかクロスとかを貼らず漆喰などの土壁を見せ、柱や床なども同じ種類の木材を使うから意外と安くつくものなんだよ。天井板なども張らず、梁や屋根裏の木組みを見せるのは木造木組みの美しさを隠さず、あえてむき出しにするのだよ。」

「それともうひとつ、ハウスメーカーのように大手の企業は信用などで安心できるんじゃないかしら。」

「確かにそうかもしれない。だけど、小さな工務店の持つ技術は大手が真似出来ず、宣伝費や人件費などがかかり、平均的なモデル住宅ばかりになる傾向があるね。これだけのものを造る技術は決して大手に負けないものを持っていて、十分信用に値すると思うよ。」

「本日はいいものを見学させてもらいまして有難うございました。遠いところ来た甲斐がありましたよ。」
と、帰り際にお礼の挨拶をもらった。

夫婦はその後よく話し合い、貯蓄とローンの兼ね合いで予算を組み、具体的にすすめてゆくことになった。