第2章10項
地震で倒れない伝統木造建物(追記③)

-追記-③

土壁は亀裂があったが
剥離していない

「石場建て」として柱を基礎に固定していないので柱脚が浮き立ったり、滑ったりして地震エネルギーを逃がしている
左棟石場建て右棟は土台建て

成24年9月19日、前回と同じく伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験検討委員会が主催で兵庫県三木市のEディフェンスで伝統的な構法の石場建てと土台構法の二棟でいずれも金物なしで建築したものである。

実験では阪神大震災と同一の地震波(JMA神戸震度6強)を用いて、縦揺れ、横揺れを再現実施。層間変形角1/30radを「安全限界」としているが2つの試験体とも1/20radで柱脚の滑り量はともに120ミリ程度であり、土壁にひび割れが入ったが倒壊はしなかった。この結果から委員会は今後、国交省に壁量計算並みの手間で使える伝統木造の簡易設計法などを提案する考え方である。

実験は平成19年、20年、23年、24年と計四回続けられ今回は最後の実大振動実験になると言われている。