第2章15項
梁を組む

この日、いよいよ梁を組むことになった。「棟梁」と言う名称もこの「梁」と「棟」から来ている語源であり、それだけ大切な箇所でもある。構造材で一番太くて大きい重量感のある梁はクレーンで吊り上げられ、通し柱に木づちで打ち込んでいく。木づちの打つ音が気持ちよく響く。

施主さんがもっとも感動する木組みである。
梁は柱又は桁の上にのせ、上部の荷重を受けて分散させる役目を持っている。
荷重の大きな家には二重梁、三重梁で組むが今回の家の規模から二重梁を用いることになった。
粘りと強度のある地松の丸太を使う。

梁材を直角にのせる接合は折置組や渡りあごと言う仕口でかみ合わせ、通し柱との接合は三方差しや四方差しに長枘車知栓(ながほぞしゃちせん)で固めた。伝統構法の強さと美しさを見せるため吹き抜けを重厚な梁組で強調した。

この日で大きな骨組みが完成した。ところがこの時、施主さんから疑問が出たのである。梁の端が外側に飛び出ているところを指摘された。その疑問に対して、次の説明をした。

ぎりぎりに切断すると、木と木のかみ合わせが弱くなるので少し梁の端を延ばしてかみ合わせを残しておくのが木組の固めであるので、あれが正常であると話し、納得をしてもらった。

このようにして、家の大きな形が出来てイメージが一層膨らんでくる。