第2章25項
構造見学会(2)

大変熱心な見学者で次から次へと質問がとぶ。

「この建物は金具が使われてませんね。」

「いいところにお気付きですね。伝統構法の認可がおりれば金具は使わず仕口や継手を存分に生かす木組みになるのです。面白い例を言いますと、岸和田のだんじりは激しい動きで有名ですがある時、金具で補強したとき、その部分が割れたり壊れたりしたのですが、金具を使わずしっかりした伝統の仕口の軸組で作っただんじりは、粘りがあってなかなか壊れなかったそうです。」

「確認申請はどうなっているのですか?」

「現時点では限界耐力計算で算出された値をピアチェックと言う構造計算適合性判定機関へ回され、認可されています。あと数年程で新しい仕様規定のみで確認申請が出来るようになる予定ですので今後はこの構法で建てる家が増えてきますよ。」

今度は別の年輩夫婦の見学者から次のような質問があった。
「私達の若い頃なら土壁はあたり前でしたが、この家も壁は昔と同じ造りになってるのですか?」

「はい。おっしゃる通りですね。竹を格子状に編んだ竹小舞いの下地に充分発酵させた藁と粘りのある土を荒塗りでゆっくり乾燥させて、中塗り、仕上げに漆喰塗りと何重も塗り重ねてます。9㎝程の厚さになってますので大変強い壁と言えます。」

その人は懐かしい面持ちで話してきた。
「昔は断熱材などは入っておらず、それでいて夏は涼しく、過しやすかったですな。」

「その通りです。調湿性が高いので結露など発生しません。」

昔の壁造りを理解してくれている人がいたことはほんとうに嬉しかった。

「ここは縁側ですな。これから板を張るんですか。私らの子供の頃の家はどこも縁側がありまして、そこで来客の応対をしたり、家族もいろんなことに利用していたもんですよ。冬はガラス戸で中は温室のように暖かかったですよ。庭で餅つきをした時には、縁側で家族集って餅をまるめたりしてましたなぁ。」

この人は屋根についても詳しかった。
「昔は屋根は瓦葺きが当然の造りでしたな。しかも瓦の下には土が入ってましたよ。」