第2章8項
構造材

次に代表的な無垢材のいくつかをその特徴と使用目的について挙げてみる。

■檜(ヒノキ) ヒノキ科 常緑高木 針葉樹

生産地は木曽(長野県)、吉野(奈良県)、丹波(兵庫県)、尾鷲(三重県)、東濃(岐阜県)、尾州(長野県)、岡山県、四国四県などで福島県以南から九州屋久島まで全国的に分布している。
檜は杉より堅くて強く重い。粘りがあり、耐久性、耐水性に富んでいる。年輪は緻密で淡い桃色の艶のある美しい木肌を持っている。
樹齢六十年〜七十年ぐらいが市場に出まわっている。気持ちをやわらげるようなよい香りを発散させ、四度石にある建造物は築十数年経った今でも当初と変わらない香りで充満している。この香りの元である精油分は白アリなどを寄せつけない強い殺虫力も合わせ持つのが特徴で構造材として柱、土台、造作材や床板などに最も適している。
又、伐採後、時が経てば経つほど強度や粘りが増してくる優れた材質であり、千年以上前に建立された社寺仏閣が現代に残っていることはそれを物語っている。


■松(マツ) マツ科マツ属 常緑高木 針葉樹

生産地 青森から鹿児島に分布。アカマツ、クロマツ、ヒメコマツなど、この内クロマツはある時期マツクイに侵され被害を受け、あまり使われていない。
「内地松」を普通「地松(アカマツ)」と呼ばれるが平梁用の幅広の木や丸太の太いものは日本では少なく今はほとんどが米松に依存しているのが現状である。
地松は年輪が密で芯より外側により密が表れる。少し黄色味がかった白色で、堅くて重く強い。ヤング係数が高く、たわみ難く粘りがあり、ヤニが出るのとひび割れが出るのでとして主に梁に使われる。希少化しているので価格は高くなっているが小屋梁などに幹がねじれて少し曲がっているのを生かして使うと味のある雰囲気が出せる。
また、化粧材や床板、階段の造作材としても使用される、経年変化で少し赤味がかった落ち着いた色合いとなる。