第3章■造 作

第3章1項
造作

構造材で足固めから小屋組、屋根葺、土壁などで家の骨格が構築され、工事は内部の造作に入った。造作物一つをとっても、その人の品格がにじみでるものである。

各部所にどんな造作材を使うかを説明したい。

■天井

竿縁の杉の平天井が目に入ると日本人の居室の安らぎが充足されるのである。天井は採光を柔らげ温度の調節を行う役目がある。もともと大昔は上から落ちてくる塵を防ぐため井の字に竹や木で作った竿を渡し、その上にわらや藺草(いぐさ)、竹などで編んだ筵(むしろ)や板などを覆って天井にしていた。

■天井の種類

平天井は格天井(ごうてんじょう)、網代天井(あじろてんじょう)、竿縁天井(さおぶちてんじょう)があり、最も一般的に造られる竿縁天井を張ることにした。
この他、折上天井(おりあげてんじょう)は太い格縁の格天井と合わされ社寺に多く、舟底天井(ふなぞこてんじょう)は数奇屋造りの家によく見られ、勾配天井(こうばいてんじょう)や駆込天井(かけこみてんじょう)は外観が低い造りの茶室に扱われている天井である。

■天井板

杉の柾目が一番多いが、中杢(なかもく)も味わい深い趣を出す。
幅の広い板を貼るシンプルな鏡天井のような造りもあるが、何といっても日本伝統の竿縁天井が和室にはしっくりとくるのである。天井板は霧島杉を使ったが薩摩杉、春日杉、秋田杉なども素材としては良材である。