第3章1項
造作(2)

■敷居

敷居は戸障子などの開閉する溝のある横木で、用材は桜が一番よいので全て桜に統一したが、欅(けやき)、松、檜、栂なども使われることがある。
たえず開閉するため磨耗に強い堅木を使う。用途によって、一本引の一筋溝、二本引の二筋溝、三本引の三筋溝がある。

■鴨居

鴨居は敷居と一対の型をとっている。鴨居から上部の荷重を支え、柱のねじれを防ぐ鴨居と、構造的に補強する差鴨居がある。用材は普通の鴨居は杉や檜、差鴨居は松を使う。
真壁構法であるのでそのまま見せるが、室内に合わせた見付にする。
柱との取付けは横柄、繰り出し柄、などの仕口を用いる。建具のない部屋には付け鴨居という化粧だけの鴨居を取り付け、その上に押さえるように長押を付ける。

■長押(なげし)

長押は柱から柱へ水平に取付ける化粧材で、「内法長押」が一般的である。鴨居の上にのせて取付ける。戦国時代より長槍をこの長押の上にのせ合戦に即、対応した。

■縁側

松は檜より陽射しに強く、脂があり湿気に強い黒松を使う。松ではこの他赤松、肥松(こえまつ)などもあるが檜も使うこともある。
縁側は憩いの場所、冬など日なたぼっこにもってこい。庭と座敷を結ぶ中間の部屋としても利用価値がある。

■縁側天井

化粧垂木(たるき)は台杉の磨き丸太を小舞打して、赤松の柾目(まさめ)の枌(そぎ)仕上げしたものを化粧板として用い、落ち着いた和風造りの味を出した。他に野根板(のねいた)もある。