第4章■建 具

第4章1項
伝統美と文化

施主の鈴木さんはご夫婦で住宅展示場を何度か見学され、その実体はよく知っておられた。

いかに秀れた無垢材の家を建てても建具が紙やビニールシート等でベニヤ板にプリント貼りしたまがいものでは建物と溶け合わず、その物自体が浮いてしまう。

建材メーカーがコストを低くするために造り出した品物は、見栄えが良いように見えるがすぐに飽きがくるし、品質が均一化し、個性がなく安っぽくて面白味がない。しかも、メーカーは一定の期間しか部品を作らないため修理も出来ない。貼り物建材の建具であるため接着剤などから有害な化学物質が出て体に悪い影響を及ぼすこともある。

やはり、無垢材で造った家には建具も無垢材で統一しなければ本当の味わい深い良さが出てこないのである。

建具そのものは立派な工芸品で伝統技術で培われた美しさがある。

この貴重な文化を引き継いで後世に残さねばならないと思う。

本物を知るために日頃から研究を積み、自らがプロデューサーにならなくては伝統文化は継承されないのである。