歴史を受け継ぐ宮大工

〜卓越した匠の技を駆使〜

日本の歴史文化を受け継いでいる宮大工は寺院・仏閣建築に持てる匠の技を発揮します。代々宮大工の家に生まれ、棟梁となった者は単に技術の受け継ぎだけではなく、広い意味で「日本の歴史的文化」を受け継いでいるとの矜持を持っている。
現存する神社、仏閣も長い間にはいくたびかの地震、風雨に遭遇し、補修や再建を余儀なくされているものもある。
そのためにはその構造を熟知し、建立するための秀れた技術が当然要求される。
彼ら宮大工集団はそれにこたえてゆかねばならない。若き頃からの研鑽、努力がないと系譜上の宮大工では到底対応出来ない厳しい現実がある。
完成された宮大工、棟梁は日本が誇れる世界のクリエイターなのである。
鉋削りする番匠
柱などをの構造材を美しく見せるため
表面を薄く削り仕上げる。

柱と土台、柱と柱を
継ぐための重要な穴
(ホゾ)をつくる。


部材を組み合わせるため
すべての計算をする。秀れた機能を
持った計算尺である曲尺。
曲尺・墨壷

長尺の構造材などに軽子をさして
壷糸を張り手元をつまみはじいて
墨の筋(線)をつける。

鋸
左手の親指を鋸の腹に添えて
安定させ引く。


斗組(ますぐみ)は上からの重力を
ささえる構築の要となる。
寺院仏閣、五重塔には
必ず用いられている木組み。


斗組の上部構造。
斗組

中心部はややゆとりをもって組み
地震などの揺れを吸収する
免震性が考慮されている。


寺院本堂
格調ある破風造りの本堂。

薬医門
本柱の内方に控柱二本を建て、
切妻屋根をかけた門。
四脚門
控柱が四本ある門
庫裡
台所と寝所がある。
火燈窓
火燈窓のある庫裡。

実物大の縮小であるが
精密な矩計図
(かなばかりず)をもとに
組み立てられている。

鐘楼

参詣前に口をすすぎ
手を洗い清める手水所

宮大工を支える道具類

墨壷と墨さし、曲尺(かねじゃく)。
用途によって何種類もある鑿。

手斧(ちょうな)は主として太梁を
化粧として削るときに使う。

彫刻と道具

寺院仏閣には
彫刻される箇所が多くある。
宮大工の芸術性高い作業である。

いろんな箇所に使われるため種類も多い。

込み栓穴のある長いホゾのきざみ。
長ホゾ込み栓。

木の釘込み栓
金物に頼らないで柱の引き抜きに耐えられるように考えられた技で柱のホゾと土台や梁、桁を縫う堅木で主にカシ、ケヤキなどが適している。